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   八幡図書館レファレンス事例


〔Q〕シェイクスピアの『マクベス』の中のマクベス夫人にはファーストネームがないのですか? その理由がわかる資料はありますか? 

〔A〕『マクベス』を確認したところ、やはりマクベス夫人のファーストネームは出てきません。論文検索サイトCiNiiで検索すると、人間環境大学人間環境学部の森順子教授による「マクベスとマクベス夫人の愛」という論文が掲載されています。本文の中に「マクベスの妻は始めから終わりまでマクベス夫人と呼ばれる。これはマクベスとマクベス夫人との緊密な関係を象徴するものである」という記述があります。
    『マクベス』は『シェイクスピア人名事典』によると、1040年から1057年にスコットランド王だったマクベスをモデルにした作品です。
    『スコットランド王国史話』に「マクベスの妃グロッホ(Gruoch)はケニス三世の孫娘で」とあります。また、『スコットランド物語』には「マクベスにも有利な点はあって、彼の妻グルオフはマルコムも含め誰よりも高貴な王家の血筋」という記述がありました。

◎参考資料
・『マクベス』 シェイクスピア/著 安西徹雄/訳 光文社 2008年 <G932.5/シ>
・『シェイクスピア人名事典』 ピーター・ケネル/著 ハミシュ・ジョンソン/著 荒木正純/訳 東洋書林 1997年 <932.5/ク> (328頁)
・『スコットランド王国史話』 森護/著 大修館書店 1988年 <233.2/モ> (37、353頁)
・『スコットランド物語』 ナイジェル・トランター/著 杉本優/訳 大修館書店 1997年 <233.2/ト> (40頁)
・論文「マクベスとマクベス夫人の愛」 森順子/著 「こころとことば」(8) 人間環境大学編集委員会 2009年 (47〜60頁)